振りかえると社会性のあるテーマを発表したかたわらに赤外線フィルム、ミニコピー、ソラリゼーション、ライントーンプロセスなど技法もためらわず同時進行していました。その最後は「カメラと露出計」。卒業制作です。級友の川崎君と共同制作でした。露出計は主に川崎君の担当でした。70年代の秋葉原はラジオ会館にてcdsセルを買った。光を感じる抵抗値を計算尺に置き換えて数値化した。カメラは僕担当だった。引伸ばし機用のレンズを使ったパンフォーカス(つまり固定焦点)でフィルムはブローニーを使った。ボディもレンズもほぼ廃材を利用したが輪ゴムで落ちるシャッター幕も印画紙の包装紙を使った。今見ても不細工だが、カメラとしてとりあえず写った。作業全体をチャート化して教員の了解も得た。ただ問題はシャッター速度を計測する術がなかった。論文として露出計の数値をカメラに置き換えて適正露出の写真を撮る。ことができなかったので自由工作でしかなかった。その後、大学付属の高校だったにもかかわらず二人とも放逐され、川崎君は写大、僕は日芸へと進んだ。