菫より小さく。

春先、庭の片隅に、小さな小さな葉っぱの群れができた。
2枚葉。先っぽがとんがっている。ちょっと肉厚。
この形から想定するに、チューリップか、ムスカリか。
植えたのは、わたし以外にいないはずなのに、
その記憶が全然ない。

あまりの小ささに、たぶん、半端な球根でも埋めておいたんだろう。
今年は花はつかないな。
とひとり決めしていたら。

春が深まり、気づくと花が咲いていた。
ブルーの極小とんがり帽子が何本も。おお。ムスカリでしたか。

咲くと、ゲンキンなもので、まめに様子を見に行く。
多少背は伸びたけど、いつまでたっても、小さい。
マイクロ、といってもいいくらい。
あまりに小さいので、
栄養不足なのかと思えば、どうやらこれがふつうらしい。

ためしに生けてみる。
花はぷりっとして、けっこう保ちそう。
合わせるのは、同じく極小サイズの花。
器も小さく。

見ているうちに、思い出した。
去年、苗をもらって、植えました。たしかに。
水仙の脇に植えておけば、うっかり掘り返しちゃったりしないだろう。と。

やっぱり忘れてしまったけど、
まあ、こうしてぶじに咲いて、よかったよかった。
こんなふうに、元気に咲いております。

花 ムスカリ 菫 スイートアリッサム
器 イギリスのメジャーカップ