触れる記憶から。

近くに、この数年誰も手を入れていない栗林がある。
葛や笹が伸びて、深い藪と化しているけれど、
それでも立派な栗のいががたくさんなっている。
道に大きくはみ出た梢のいがは、
手を伸ばせば届きそう。じっさい、大型のダンプや、背の高い配送トラックが通った後には、いくつもいがが落ちて、つぶれている。
その後を、車で通る。
自転車で、通る。
歩いて、通る。
タイヤに、靴の裏に。刺さったりしないんだろうか。
たぶん、そんなことはないのだろうけれど、
無意識のうちによけて通ってしまう。
ときに指に刺さる、あの感触の記憶があるからだろう。

ちくちく。いがいが。
同じような記憶をもつ花がある。
手にするとき、ふと、手が用心してしまう花たちだ。
薔薇の棘。
あざみの毛羽だった茎。

オヤマボクチも、同じく。
くりくり坊主のようなまんまるの形。
緑のうちはやわらかく、
黒ずんでくるにつれ、固く、ちくちくとしてくる。

茎を持たず、あえて花の部分を持つ。
指の腹で、やわらかく持って、花瓶に入れる。
ちくちくとの上手なつきあい方は、指使いにあると思う。

花 小山火口 野ばら 金水引
器 林志保

写真の花器を作られている、林志保さんの器に生けるワークショップがあります。
fudoki 東京都板橋区坂下3-8-6
9/16(土) 11:00~13:00/14:00~16:00
5,400円(税込、迷羊舎さんのお菓子・お茶つき) 要予約
予約方法:8/10(木)10:00よりFudokiさんで、メールにて受付を開始いたします。
詳しくは、
Fudokiのサイトからご覧ください。
http://fudoki.co.jp/2017/08/201709_2/